大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和5年度(2023年度)追・再試験
問95 (地理B(第5問) 問6)
問題文
セイラさんたちは、調査のまとめとして、次の図5を見ながら生物多様性について話し合った。図5は、日本の在来種のカモシカと外来種のアライグマの生息分布を5kmメッシュで示したものであり、図5中のカとキは、カモシカとアライグマのいずれかである。また、後の会話文中の空欄( a )にはカとキのいずれか、下線部bに関する取組みの具体例には後のXとYのいずれかが当てはまる。空欄( a )に当てはまる分布図と、下線部bに関する取組みの具体例との組合せとして最も適当なものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。
セイラ 「ニホンカワウソの絶滅には、乱獲や人間活動の拡大が大きく影響していたね。生物多様性の減少には、ほかにどのような理由があるかな」
ショウ 「人間がペットとして持ち込んだ外来種が在来種の生息をおびやかして、生物多様性に影響を与えていそうだね。図5のカモシカとアライグマの生息分布図を比較すると、( a )がアライグマだと判断できるね」
サナ 「ほかには、b 人間の自然への働きかけによって長らく保たれてきた生物多様性についても、働きかけを続けていくことが課題となっているよ」
セイラ 「生物多様性を考えるには、自然と人間との関係についてもっと深く学んでいく必要があるね」
下線部bに関する取組みの具体例
X 石灰石の採掘のために斜面が削り取られた日本の山において、植生を回復させるための植林ボランティアに参加する。
Y 野焼きによって維持されてきた日本の草原において、担い手が少なくなった野焼き作業のボランティアに参加する。
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問題
大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和5年度(2023年度)追・再試験 問95(地理B(第5問) 問6) (訂正依頼・報告はこちら)
セイラさんたちは、調査のまとめとして、次の図5を見ながら生物多様性について話し合った。図5は、日本の在来種のカモシカと外来種のアライグマの生息分布を5kmメッシュで示したものであり、図5中のカとキは、カモシカとアライグマのいずれかである。また、後の会話文中の空欄( a )にはカとキのいずれか、下線部bに関する取組みの具体例には後のXとYのいずれかが当てはまる。空欄( a )に当てはまる分布図と、下線部bに関する取組みの具体例との組合せとして最も適当なものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。
セイラ 「ニホンカワウソの絶滅には、乱獲や人間活動の拡大が大きく影響していたね。生物多様性の減少には、ほかにどのような理由があるかな」
ショウ 「人間がペットとして持ち込んだ外来種が在来種の生息をおびやかして、生物多様性に影響を与えていそうだね。図5のカモシカとアライグマの生息分布図を比較すると、( a )がアライグマだと判断できるね」
サナ 「ほかには、b 人間の自然への働きかけによって長らく保たれてきた生物多様性についても、働きかけを続けていくことが課題となっているよ」
セイラ 「生物多様性を考えるには、自然と人間との関係についてもっと深く学んでいく必要があるね」
下線部bに関する取組みの具体例
X 石灰石の採掘のために斜面が削り取られた日本の山において、植生を回復させるための植林ボランティアに参加する。
Y 野焼きによって維持されてきた日本の草原において、担い手が少なくなった野焼き作業のボランティアに参加する。
- a:カ b:X
- a:カ b:Y
- a:キ b:X
- a:キ b:Y
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この過去問の解説 (2件)
01
正答は「a:カ b:Y」です。
>アライグマ
本来アメリカ大陸に棲む動物ですが、1980年代のアライグマブームで日本ではペットとして飼う人たちが急増しました。飼いきれなくなったアライグマは捨てられましたが、高い順応能力を発揮して都市部で容易に繁殖を続けています。
>ニホンカモシカ
日本の山間部に生息する固有種です。森林伐採や採掘によって年々その生息地が縮小しています。
>石灰岩採掘現場での植林
岩石がむき出しになるまで採掘され尽くしてしまった山肌に、土壌の頒布と植林を行い、植生の回復を目指します。
>野焼き
ススキなどの草原は、放っておくと極相である密林になってしまいます。草原を好んで棲むノウサギや昆虫類を守るため、年に一回など定期的に草原に火をつけます。これにより灰が肥料となり、新たな草本類が生え、草原の形を維持し続けます。
草原という自然環境に対して人為的に手を加えることで、植生や動物の生息環境が維持されてきました。
この問題の難しいところは、「人間の自然への働きかけによって長らく保たれてきた生物多様性についても、働きかけを続けていくこと」という文脈の解釈です。「野焼きという人間の自然への働きかけ」という伝統的文化の必要性を意味しています。
よって
アライグマ→カ
人間の自然への働きかけの継続→Y
誤った組み合わせです。
正しい組み合わせで、正答です。
誤った組み合わせです。
誤った組み合わせです。
>野焼きの意義
草原という自然環境の維持
伝統的農業において秣肥料の供給地
現代では化学肥料の普及により秣肥料が必要ではなくなり、野焼きの必要性が薄れてきました。
しかし自然環境の維持という目的で、野焼きを続けていくことが大切です。
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02
「a:カ b:Y」 の組合せが最も適当です。
カの分布は大都市圏を含む広い範囲に点在し、移入後に拡大したアライグマの特徴と一致します。
bでは、人の手を入れ続けることで維持される二次的自然の保全が課題であり、長年の野焼きを途絶えさせないY(草原の野焼きボランティア)が具体例として適切です。
Xは採掘跡地の植林で、自然破壊後の回復を目的とします。
里草原のような二次的自然の継続的管理とは趣旨が異なります。
カは関東・近畿・九州など市街地周辺を中心に分布が広がり、外来種アライグマの拡散パターンに合致します。
Yは人が野焼きを続けることで草原の生物多様性を守る取組みで、下線部bの説明と一致します。
キは山地に集中し、九州にはごく限られ、在来のカモシカの分布に近い図です。
従って「外来種」と判断するのは不適切です。
さらにXは回復型の植林であり、bの趣旨である「伝統的管理の継続」とは合いません。
aが誤っており、キは外来種ではありません。
よって適当ではありません。
・アライグマ(外来種):都市周辺を含む広域に拡散 → 図カ
・カモシカ(在来種):山岳地帯を中心に局地分布 → 図キ
・二次的自然の維持:人為的な攪乱を継続して多様な生態系を守る → 野焼き作業(Y)
以上より、「a:カ b:Y」が最も適当です。
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