大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和5年度(2023年度)追・再試験
問17 (<旧課程>世界史B(第3問) 問2)
問題文
朝鮮王朝は、明に対して、1年に3回の定期的な朝貢使節を派遣するとともに、その他にも様々な名目で頻繁に使節を派遣した。その使節派遣の頻度は、a 明の朝貢国の中でも群を抜いていたが、その理由の一つとして、朝鮮王朝の使節が陸路のみで明の都までたどり着くことができたことが挙げられる。朝鮮王朝の使節は、通例、自国の都を出発した後、鴨緑江を越え、遼陽を通り、山海関を抜け、明の都に至った。
しかし、1621年、後に清と国号を改めた( ア )という国によって遼陽が占領されたため、翌年、賀登極使(がとうきょくし)(注)に任じられた呉允謙(オユンギョム)は、自国の都を出発した後、鴨緑江を越えず、海路を使って山東半島に至り、そこから陸路で明の都を目指した。これ以後、海路を利用した朝鮮王朝の明への使節派遣は、1636年まで続けられた。
(注)賀登極使 ― 新たな皇帝の即位(登極)を祝賀するための使節。
下線部aの歴史について述べた文として最も適当なものを、次の選択肢のうちから一つ選べ。
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問題
大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和5年度(2023年度)追・再試験 問17(<旧課程>世界史B(第3問) 問2) (訂正依頼・報告はこちら)
朝鮮王朝は、明に対して、1年に3回の定期的な朝貢使節を派遣するとともに、その他にも様々な名目で頻繁に使節を派遣した。その使節派遣の頻度は、a 明の朝貢国の中でも群を抜いていたが、その理由の一つとして、朝鮮王朝の使節が陸路のみで明の都までたどり着くことができたことが挙げられる。朝鮮王朝の使節は、通例、自国の都を出発した後、鴨緑江を越え、遼陽を通り、山海関を抜け、明の都に至った。
しかし、1621年、後に清と国号を改めた( ア )という国によって遼陽が占領されたため、翌年、賀登極使(がとうきょくし)(注)に任じられた呉允謙(オユンギョム)は、自国の都を出発した後、鴨緑江を越えず、海路を使って山東半島に至り、そこから陸路で明の都を目指した。これ以後、海路を利用した朝鮮王朝の明への使節派遣は、1636年まで続けられた。
(注)賀登極使 ― 新たな皇帝の即位(登極)を祝賀するための使節。
下線部aの歴史について述べた文として最も適当なものを、次の選択肢のうちから一つ選べ。
- 琉球が、日本の薩摩藩の侵攻を受けた。
- シャイレンドラ朝が、ボロブドゥール寺院を建てた。
- コンバウン朝が、イギリスとの戦争で滅亡した。
- ベトナムの黎朝が、儒学を禁じた。
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この過去問の解説 (2件)
01
下線部の通り、明の朝貢国についての問題です。
琉球は、明との中継貿易で繁栄していました。その後薩摩藩の島津氏に進行を受けました。よってこれが正解です。
シャイレンドラ朝のボロブドゥール寺院は8世紀後半から9世紀前半に建てられたものであり、明の建国は14世紀であるため、時代の違いから聴講できません。よって誤りです。
明が滅びたのは1644年であります。問題のコンバウン朝が滅びたのは19世紀のことであり、これも時代の違いから朝貢国になりえません。よって誤りです。
ベトナムの黎朝は儒学を禁じたのではなく、明に倣い、儒学を積極的に取り入れました。よって誤りです。
今回の問題は、選択肢の中で、年代を問われることが多い問題でした。このようなことから、時代区分はしっかりと覚えておくようにしましょう。また、仮にわからない場合であっても、問題の文章中の1621年という年代からも、後金よりも前の時代である明はそれよりも前の時代なんだということがわかります。このように周りの情報から推測する能力も場合によっては必要になります。
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02
明の主な朝貢国について出題されています。
琉球は明の冊封体制の下で中継貿易で反映していましたが、17世紀初めに薩摩の島津氏に侵攻され、日中双方に従うようになりました。これが正解です。
インドネシアにあるボロブドゥール寺院は、8世紀後半から9世紀前半にかけて建立されました。明の建国は1368年なので誤りです。
コンバウン朝がイギリスとの戦争で滅亡したのは1886年のことであり、明が滅亡した1644年よりも後の時期です。コンバウン朝の宗主国は清です。よって誤りです。
ベトナムの黎朝は、明を宗主国として仰ぎ、儒学や科挙制度を積極的に受け入れたので誤りです。
東南アジアや東アジアの国々については、中国の冊封体制に入っていたのかどうか、入っていたとすればどの王朝の冊封体制に入っていたのかを整理しておきましょう。
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