共通テスト(地理歴史) 過去問
令和5年度(2023年度)追・再試験
問25 (<旧課程>世界史B(第4問) 問4)

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問題

共通テスト(地理歴史)試験 令和5年度(2023年度)追・再試験 問25(<旧課程>世界史B(第4問) 問4) (訂正依頼・報告はこちら)

歴史を学ぶ際には、資料の内容だけでなく、作成者(書き手)が生きた時代やその立場も考慮する必要がある。そうした視点に立った次の文章を読み、後の問いに答えよ。

次の文章は、『ローマ人盛衰原因論』という著作の、古代ローマを扱った部分を論じたものである。

『ローマ人盛衰原因論』の著者は、ローマ人の歴史を合理的な因果関係によって説明しようとする。彼によれば、ローマ隆盛の最大の理由は強力な軍隊であった。当初、軍隊は土地など一定の財産を持つ市民から構成され、彼らは祖国の防衛に高い関心があったからである。そして著者は、共和政自体を高く評価する。元老院、市民、役人が相互に各権力の濫用を抑制する体制だったからである。この評価は、彼の後の著作『法の精神』に通じる。
ローマの衰退の原因もまた、軍隊の性質の変化に求められた。共和政末期には、土地を持たない貧しい市民も軍隊に動員されるようになった。また軍隊の活動の場がイタリア半島の外に移ると、軍隊は国家自体ではなく、給与や恩賞を与えてくれる一部の将軍を支持し、カエサルに代表される特定の人物に権力が集中した。著者は、各権力を抑制する体制の崩壊につながったこの変化が衰退の一因であったと考えている。
軍隊自体は、アウグストゥスに始まる帝政の下でも強大であったが、その規律は低下し、維持費も国家の負担となった。そのような軍隊が皇帝の地位をも左右する力を持つようになったことで、軍人皇帝時代の混乱が生じた。ディオクレティアヌス以降は、軍隊の維持費のために重税が課されたため、政治を担っていた富裕層が弱体化した。同時に、軍隊に異民族が利用されるようになり、軍隊自体が弱体化したと論じる。
以上のような軍隊の性質の変化が、ローマの繁栄を支えた軍隊の弱体化につながり、結果として西ローマ帝国は4世紀後半以降の異民族の侵入に対処できなくなって滅亡したと、著者は結論づけている。歴史を論理的に説明しようとする著者の姿勢は、彼が生きていた時代に隆盛した思想潮流を反映している。

前の文章には、ローマで独裁官または皇帝となった複数の人物が出てくる。そのいずれかの人物の事績について述べた文として最も適当なものを、次の選択肢のうちから一つ選べ。
  • ガリアに遠征し、『ガリア戦記』を著した。
  • セレウコス朝と結んだアントニウスに勝利した。
  • ローマ市民権を帝国内の全自由人に付与した。
  • 4人の正帝によって帝国を治める体制を敷いた。

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この過去問の解説 (3件)

01

「歴史を学ぶ際には、資料の内容だけでなく、作成者(書き手)が生きた時代やその立場も考慮する必要がある。そうした視点に立った次の文章を読み、後の問いに答えよ」とあります。

これは本当その通りでただ単に呆然と読んで解くのではなく、その文章の趣旨から出題者がどのような回答を期待しているか検討して回答しましょう。

「前の文章には、ローマで独裁官または皇帝となった複数の人物が出てくる。そのいずれかの人物の事績について述べた文として最も適当なものを」とあります。

「カエサルに代表される特定の人物に権力が集中した」とあることから、独裁官といえます。

「そして著者は、共和政自体を高く評価する。元老院、市民、役人が相互に各権力の濫用を抑制する体制だったからである」とし、共和制を評価しており「ローマの衰退の原因もまた(中略)給与や恩賞を与えてくれる一部の将軍を支持し、カエサルに代表される特定の人物に権力が集中した。著者は、各権力を抑制する体制の崩壊につながったこの変化が衰退の一因であったと考えている」とあることから、かつての共和制を理想とし、しかし給与や恩賞を与えてくれる者に支持が集まり、その者が権力を持ったことでローマが衰退したという。

「以上のような軍隊の性質の変化が、ローマの繁栄を支えた軍隊の弱体化につながり、結果として西ローマ帝国は4世紀後半以降の異民族の侵入に対処できなくなって滅亡したと、著者は結論づけている」とあることから、著者はこれら独裁化や皇帝がローマ滅亡の原因となったというように独裁官や皇帝を批判しているものと考えます。

選択肢1. ガリアに遠征し、『ガリア戦記』を著した。

「カエサルに代表される特定の人物に権力が集中した。著者は、各権力を抑制する体制の崩壊につながったこの変化が衰退の一因であったと考えている」としています。

実はこのカエサルが「ガイア戦記」の著者なのです。

著者の言いたいことを簡単にいうと「共和制でうまくいってたのにカエサルが権力持ってそのせいでローマ衰退させたんだ、とんでもないことしてくれた」という

そのカエサルが何をしたのか

ガイア戦記を著した

よって、この選択肢が正解です。

選択肢2. セレウコス朝と結んだアントニウスに勝利した。

セレウコス朝と結んだアントニウスに勝利した」

これ何に勝利したか不明ですよね。

経済なのか戦いなのか。

文言から文理解釈すれば戦いであるだろうけど、独裁官や皇帝の批判と関連するかと言われたら、そうとは言い切れません。

よって、正答ではありません。

 

選択肢3. ローマ市民権を帝国内の全自由人に付与した。

「そして著者は、共和政自体を高く評価する。元老院、市民、役人が相互に各権力の濫用を抑制する体制だったからである」とし、共和制を評価しており「ローマの衰退の原因もまた(中略)給与や恩賞を与えてくれる一部の将軍を支持し、カエサルに代表される特定の人物に権力が集中した。著者は、各権力を抑制する体制の崩壊につながったこの変化が衰退の一因であったと考えている」とあることから、かつての共和制を理想とし、しかし給与や恩賞を与えてくれる者に支持が集まり、その者が権力を持ったことでローマが衰退したという。

「以上のような軍隊の性質の変化が、ローマの繁栄を支えた軍隊の弱体化につながり、結果として西ローマ帝国は4世紀後半以降の異民族の侵入に対処できなくなって滅亡したと、著者は結論づけている」とあることから、著者はこれら独裁化や皇帝がローマ滅亡の原因となったというように独裁官や皇帝を批判しているものと考えます。

ところで「ローマ市民権を帝国内の全自由人に付与した」という記述は「独裁官や皇帝の批判」という著者の考え方に反しています。

よって、この選択肢は正答ではありません。

選択肢4. 4人の正帝によって帝国を治める体制を敷いた。

「そして著者は、共和政自体を高く評価する。元老院、市民、役人が相互に各権力の濫用を抑制する体制だったからである」とし、共和制を評価しており「ローマの衰退の原因もまた(中略)給与や恩賞を与えてくれる一部の将軍を支持し、カエサルに代表される特定の人物に権力が集中した。著者は、各権力を抑制する体制の崩壊につながったこの変化が衰退の一因であったと考えている」とあることから、かつての共和制を理想とし、しかし給与や恩賞を与えてくれる者に支持が集まり、その者が権力を持ったことでローマが衰退したという。

「以上のような軍隊の性質の変化が、ローマの繁栄を支えた軍隊の弱体化につながり、結果として西ローマ帝国は4世紀後半以降の異民族の侵入に対処できなくなって滅亡したと、著者は結論づけている」とあることから、著者はこれら独裁化や皇帝がローマ滅亡の原因となったというように独裁官や皇帝を批判しているものと考えます。

このことから「4人の正帝によって帝国を治める体制を敷いた」という記述は著者の批判する「独裁官または皇帝」であるかのように思えます。

しかし「正帝」は役職です。

問題文には「ローマで独裁官または皇帝となった複数の人物が出てくる。」と指示があるのですが「正帝」は役職であり人物の名称ではありません。

なので正答ではありません。

まとめ

「歴史を学ぶ際には、資料の内容だけでなく、作成者(書き手)が生きた時代やその立場も考慮する必要がある」

これはその通りで、ただ単に資料の内容のみをもって検討したとしても正答が導き出せるわけではありません。

出題者の意図や資料の趣旨等しっかり読み込んで考えながら検討していきましょう。

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02

ローマでの独裁官または皇帝となった人物たちについての問題です。また、前の文章中に出てくるかどうかが大事になってきます。

選択肢1. ガリアに遠征し、『ガリア戦記』を著した。

『ガリア戦記』を書いたのはカエサルであります。彼は古代ローマの皇帝です。よって正解です。

 

選択肢2. セレウコス朝と結んだアントニウスに勝利した。

アントニウスが組んだのはプトレマイオス朝であり、セレウコス朝ではありません。よって誤りです。

これは文章中の文言が間違っているだけで、さしているもの自体はローマに関係するものであるため非常に紛らわしいです。

選択肢3. ローマ市民権を帝国内の全自由人に付与した。

ローマ市民権を全自由人に付与したのはカラカラ帝であり、ローマ皇帝ですが、前の文章中に記載がないです。そのため、誤りです。

 

選択肢4. 4人の正帝によって帝国を治める体制を敷いた。

4人の正帝ではなく、2人の正帝と2人の副帝によって体制が完成しました。よって誤りです。

まとめ

この問題はかなりややこしい問題だと個人的に思います。文章がさしているものがローマ帝国のことであっても、文言に少し誤りがあったりするなど、複雑な文章が多いです。このような場合は、文章が間違っているかどうかを最優先に考えることで解決できると思います。

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03

ローマで独裁官または皇帝となった複数の人物についての問われた問題です。

選択肢1. ガリアに遠征し、『ガリア戦記』を著した。

ガリアに遠征し、『ガリア戦記』を著したのはカエサルです。カエサルは文章中でも紹介されています。よって正解です。

選択肢2. セレウコス朝と結んだアントニウスに勝利した。

アウグストゥスのことだと思われますが、アントニウスが結んだ相手はセレウコス朝ではなく、プトレマイオス朝なので誤りです。

選択肢3. ローマ市民権を帝国内の全自由人に付与した。

ローマ市民権を帝国内の全自由人に付与したのはカラカラ帝ですが、カラカラ帝についてはこの文章に名前が出てきませんので、誤りです。

選択肢4. 4人の正帝によって帝国を治める体制を敷いた。

ディオクレティアヌスのことだと思われますが、彼が作り上げたのは、ローマを4分割して2人の正帝、2人の副帝で統治する体制です。4人の正帝による分割ではないのでで誤りです。

まとめ

ローマにおける独裁官または皇帝に関する問題でしたが、注意するべきポイントは、文章中に記載された人物なのかどうかという点です。その人物についての説明が正しくても、文章に記載されていなければ正解ではありませんので、注意しましょう。

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