大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和6年度(2024年度)本試験
問48 (日本史B(第3問) 問4)
問題文
マユ:中世になると鎌倉幕府が成立するけれど、a 京都の朝廷も権力を持っているし、荘園領主も大きな権力を持っていたんだよね。
ヨシミ:だから中世には、幕府の法や朝廷の法、荘園領主の法など複数の法が併存していたみたいだね。それから戦国大名の中には分国法を制定した者もいたよね。
マユ:様々な権力がそれぞれに異なる法を出していたなんて、よく社会が混乱しなかったよね。
ヨシミ:鎌倉幕府の出した法令は主に御家人を対象としたように、それぞれの法は適用範囲が異なっていたから大丈夫だったんじゃない。
マユ:でも、b 1297年の永仁の徳政令については、御家人以外の人たちも適用を求めたことがあったようだよ。
ヨシミ:そうか、支配する権力者たちは法の適用範囲を定めたけど、支配される人たちはそれを守るとは限らなかったわけか。
マユ:それに、山城国下久世(しもくぜ)荘の名主・百姓が起こした訴訟は、c 南北朝時代の出来事だったという点も面白いね。
ヨシミ:それだけ永仁の徳政令の影響力が大きかったことが分かるよね。
マユ:中世の荘園の名主・百姓たちは、自らの利益を守るために様々な活動をしたんだね。
マユさんとヨシミさんは、戦国大名が制定した分国法について調べて、次の史料3~5を見つけた。史料3~5と、その内容について述べた後の文X・Yとの組合せとして最も適当なものを、後のうちから一つ選べ。
史料3
朝倉館の外、国の中に城郭を構えさせまじく候、惣別して分限あらん者(注1)は一乗谷へ越され、その郷その村には代官・百姓ばかり置かるべく候事。
(注1)分限あらん者:所領をもつ者のこと。
史料4
駿・遠両国(注2)の輩、あるいはわたくしとして他国より嫁をとり、あるいは婿にとり、娘をつかわす事、自今以後これを停止(ちようじ)しおわんぬ。
(注2)駿・遠両国:駿河・遠江両国のこと。
史料5
喧嘩(けんか)の事、是非に及ばず成敗を加うべし。ただし、取り懸くる(注3)といえども、堪忍せしむるの輩においては、罪科に処すべからず。
(注3)取り懸くる:相手がうってかかること。
X この戦国大名は、家臣が領国外の武士と結びつくことを警戒した。
Y この戦国大名は、家臣同士が自らの武力で争うことを禁止した。
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問題
大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和6年度(2024年度)本試験 問48(日本史B(第3問) 問4) (訂正依頼・報告はこちら)
マユ:中世になると鎌倉幕府が成立するけれど、a 京都の朝廷も権力を持っているし、荘園領主も大きな権力を持っていたんだよね。
ヨシミ:だから中世には、幕府の法や朝廷の法、荘園領主の法など複数の法が併存していたみたいだね。それから戦国大名の中には分国法を制定した者もいたよね。
マユ:様々な権力がそれぞれに異なる法を出していたなんて、よく社会が混乱しなかったよね。
ヨシミ:鎌倉幕府の出した法令は主に御家人を対象としたように、それぞれの法は適用範囲が異なっていたから大丈夫だったんじゃない。
マユ:でも、b 1297年の永仁の徳政令については、御家人以外の人たちも適用を求めたことがあったようだよ。
ヨシミ:そうか、支配する権力者たちは法の適用範囲を定めたけど、支配される人たちはそれを守るとは限らなかったわけか。
マユ:それに、山城国下久世(しもくぜ)荘の名主・百姓が起こした訴訟は、c 南北朝時代の出来事だったという点も面白いね。
ヨシミ:それだけ永仁の徳政令の影響力が大きかったことが分かるよね。
マユ:中世の荘園の名主・百姓たちは、自らの利益を守るために様々な活動をしたんだね。
マユさんとヨシミさんは、戦国大名が制定した分国法について調べて、次の史料3~5を見つけた。史料3~5と、その内容について述べた後の文X・Yとの組合せとして最も適当なものを、後のうちから一つ選べ。
史料3
朝倉館の外、国の中に城郭を構えさせまじく候、惣別して分限あらん者(注1)は一乗谷へ越され、その郷その村には代官・百姓ばかり置かるべく候事。
(注1)分限あらん者:所領をもつ者のこと。
史料4
駿・遠両国(注2)の輩、あるいはわたくしとして他国より嫁をとり、あるいは婿にとり、娘をつかわす事、自今以後これを停止(ちようじ)しおわんぬ。
(注2)駿・遠両国:駿河・遠江両国のこと。
史料5
喧嘩(けんか)の事、是非に及ばず成敗を加うべし。ただし、取り懸くる(注3)といえども、堪忍せしむるの輩においては、罪科に処すべからず。
(注3)取り懸くる:相手がうってかかること。
X この戦国大名は、家臣が領国外の武士と結びつくことを警戒した。
Y この戦国大名は、家臣同士が自らの武力で争うことを禁止した。
- X ― 史料3 Y ― 史料4
- X ― 史料3 Y ― 史料5
- X ― 史料4 Y ― 史料3
- X ― 史料4 Y ― 史料5
- X ― 史料5 Y ― 史料3
- X ― 史料5 Y ― 史料4
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この過去問の解説 (3件)
01
史料3は『朝倉孝景条々』です。一乗谷以外に勝手に城を築いてはいけなく、所領を持つものは一乗谷へ引っ越すように書かれています。
史料4は『今川仮名目録』です。他国から嫁や婿をとることは今後してはいけないと書かれています。
史料5は『甲州法度之次第』です。争いをした者はその理由に関係なく、成敗を加えると書かれています。
X「家臣が領国外の武士と結びつくことを警戒した。」は史料4です。「他国から嫁や婿をと」り、「領国外」と結びつくことを警戒しています。
Y「家臣同士が自らの武力で争うことを禁止した。」は史料5です。「争いをした者は・・・成敗を加える」とし、「武力で争うことを禁止し」ています。
不適な選択肢です。
不適な選択肢です。
不適な選択肢です。
適切な選択肢です。
不適な選択肢です。
不適な選択肢です。
分国法について資料とその意図をつなぎ合わせる問題です。いずれも頻出の分国法ですので、その内容を確認するようにしましょう。
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02
●問題のポイント
分国法の史料の内容について述べた文との正しい組合せを選ぶ問題です。
●解答
正しい組合せは、X-史料4 Y-史料5となります。
史料の内容を要約して、各文の内容を特定しましょう。
史料3:
朝倉館の外、国の中に城郭を構えさせまじく候、惣別して分限あらん者は一乗谷へ越され、その郷その村には代官・百姓ばかり置かるべく候事。
これは、朝倉氏の分国法で、子の氏景に残したとされる家訓です。
内容は、家臣に城を築かせないこと、所領を持つ者は一乗谷に集まり住むこと、その村には代官と百姓のみを置くことを命じたものです。
史料4:
駿・遠両国の輩、あるいはわたくしとして他国より嫁をとり、あるいは婿にとり、娘をつかわす事、自今以後これを停止(ちょうじ)しおわんぬ。
これは、今川仮名目録という今川氏の分国法です。
駿河・遠江両国の家臣は勝手に他国から嫁や婿を取ってはいけない。また、娘を他国に嫁がせてはいけないという内容です。
史料5:
喧嘩の事、是非に及ばず成敗を加うべし。ただし、取り懸くるといえども、堪忍せしむるの輩においては、罪科に処すべからず。
これは、甲州法度之次第(信玄家法)という武田氏の分国法です。
喧嘩はどんな事情でも全て処罰する。ただし、喧嘩をしかけられても我慢した者は処分の対象にはならないという内容です。
これを内容について述べた文章と照らし合わせてみましょう。
X この戦国大名は、家臣が両国外の武士と結びつくことを警戒した。
「家臣が両国外の武士と結びつくこと」とは、他国から嫁や婿を取ったり、娘を他国へ嫁がせてはいけないという「史料4」の内容です。
Y この戦国大名は、家臣同士が自らの武力で戦うことを禁止した。
「家臣同士が自らの武力で戦うことを禁止」とは、喧嘩はどんな事情でも全て処罰するという「史料5」の内容です。
組合せは誤りです。
Y:史料5の組合せは、合っています。
X:史料4の組合せは、合っています。
「X:史料4 Y:史料5」 正しい組合せです。
組合せは誤りです。
組合せは誤りです。
分国法は、大名ごとに作られたため内容はさまざまですが、御成敗式目の影響を受けているのが特徴です。
分国法が作られた理由は、領国を安定させ自分の地位を守るためです。戦国大名は戦に明け暮れていたので、家臣を結束して強い国を作る必要があったわけです。
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03
正しい組み合わせは、「X―史料4 Y―史料5」 です。
・史料4は、駿河・遠江の家臣が他国との婚姻を禁じる規定で、領国外の武士と結びつくことを警戒した内容です。
・史料5は、家臣間の私闘(喧嘩)を禁止し、違反者を処罰する条文で、家中での武力衝突を抑えています。
このため、
外部との結び付きを警戒した大名=Xに対応するのは史料4、
家臣同士の争いを禁じた大名=Yに対応するのは史料5
となります。
・史料3は、家臣に国中での城郭築造を禁止し、所領を持つ者を一乗谷に集住させるとした内容です。
外部との結び付きではなく、城の分散を防ぐ中央集権策を示しています。
誤りです。
誤りです。
誤りです。
正しい組み合わせです。
誤りです。
誤りです。
戦国大名は家中統制のために独自の分国法を作りました。
・他国との婚姻禁止(史料4)は、外部勢力との縁組による離反や情報流出を防ぐ措置です。
・家臣同士の私闘禁止(史料5)は、無用の内乱を避け、領国内の秩序を保つ目的があります。
これにより、領主は内外の結束を固めて戦国期を生き抜こうとしたことが分かります。
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