大学入学共通テスト（地理歴史） 過去問
令和6年度（2024年度）本試験
問56 (日本史B（第5問） 問2)

幕末期における輸出入に関する出題です。

Xは正しいです。「1865年は、1514万ドル×7％であり、約105万ドル」「1867年は、2167万ドル×13％であり、約281万ドル」であり、輸入額が増加しています。

Yは誤りです。輸入総額は増額しています。「関税が引き上げられ」れば輸入総額は減額するはずです。

●問題のポイント

1865年と1867年の日本の輸入総額を主な輸入品の割合を表したグラフに関して述べた文について、その正誤の組合せとして正しいものを選ぶという問題です。

●解答

Ｘの記述は誤りで、Ｙの記述は正しいことから、正しい組合せは「Ｘ：正　Ｙ：誤」となります。説明文をみて、正誤の部分を確認しましょう。

Ｘ　グラフ１とグラフ２からは、艦船や小銃などの武器類の輸入額が増えたことが確認でき、幕末期の日本で西洋式軍備の需要が高まっていたことが分かる。

旧幕府軍は、新政府軍との戦いのために欧米からの最新式の銃や艦船の導入を進めていました。

1968年1月に戊辰戦争が勃発しましたが、旧来の刀や火縄銃とは異なる「西洋式銃」が使われています。

正しい記述です。

Ｙ　グラフ１とグラフ２へと輸入総額が変化した背景には、欧米諸国の要求により関税率が引き上げられたことがある。

1866年に改税約書（かいぜいやくしょ：幕府がイギリス・フランス・アメリカ・オランダの四国と結んだ貿易約書）が締結され、輸入関税が20％から率５％に引き下げられました。

関税額が引き上げられると、輸入品は高くなるので輸入額は減少します。

したがって「輸入総額が変化した背景には、欧米諸国の要求により関税率が引き上げられた」という記述は誤りです。

正しい組合せは、「X：正　Y：誤」 です。

【各文の検討】

X：正

グラフを比べると、1865年→1867年にかけて武器類（小銃など）と艦船の輸入額・比率がいずれも増加しています。

これは倒幕・戊辰戦争を目前にした諸藩や幕府が、西洋式軍備を急いだ動きを裏づけます。

・小銃など武器類：7.04％ → 13.28％

・艦船：6.27％ → 7.83％

・輸入総額：約1.5千万ドル → 約2.2千万ドル

Y：誤

輸入総額の増大は1866年の改税約書で関税が一律5％の低税率に引き下げられたことが主因であり、欧米の要求による「引き上げ」ではありません。