大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和6年度(2024年度)本試験
問59 (日本史B(第6問) 問1)

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問題

大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和6年度(2024年度)本試験 問59(日本史B(第6問) 問1) (訂正依頼・報告はこちら)

次のプリントは、二度の世界大戦後の日本と国際社会の関係をテーマに、発表準備を進めている高校生のヒマリさんが作成したものである。この文章を読み、後の問いに答えよ。(史料は、一部省略したり、書き改めたりしたところがある。)

第一次世界大戦後の日本と国際社会の関係について作成したプリント

・大戦後の日本:複数の国際会議に参加。新しい国際社会の構築への関与。
 例:1921~22年のワシントン会議 → a 日本は多くの新条約を締結、古い条約を廃棄
b 不戦条約の締結(1928年):日本も調印・批准
 内容:国際紛争を解決する手段としての戦争を、放棄すると誓う。
・1931年9月~:日本軍が中国東北部で軍事行動を開始。
 疑問点:c 日本政府は、不戦条約などとの関係をどう考えたのか?
・その後の展開:国際組織や条約からの相次ぐ脱退。
 疑問点:d 国際社会との関係を日本の指導者たちはどう構想したのか?

下線部aに関連して、ヒマリさんが見つけた次の史料1~3に関して述べた後の説明X・Yについて、その組合せとして最も適当なものを、後のうちから一つ選べ。

史料1
両締盟国のどちらかが自ら挑発せずに(中略)その領土権や特殊利益を防護するために交戦する時は(中略)他の一方の締盟国は(中略)協同して戦闘に当り、講和も同様に両締盟国が合意した上で行う。

史料2
締約国は戦争に訴えない義務を受諾し、(中略)各国政府間の行為を律する国際法の原則を確立し、(中略)各国間の平和安寧を完成するため、ここに国際連盟規約を協定する。

史料3
締約国は各自の主力艦建造計画を廃止しなければならず、同時に(中略)(別の条項)に掲げる規定に従って(老朽艦の代わりに)建造することができるトン数以外に、新しい主力艦を建造したり取得したりできない。
(史料1~3は『日本外交年表竝主要文書』)

X  ワシントン会議で調印された条約の一部分
Y  ワシントン会議で廃棄された条約の一部分
  • X ― 史料1  Y ― 史料2
  • X ― 史料1  Y ― 史料3
  • X ― 史料2  Y ― 史料1
  • X ― 史料2  Y ― 史料3
  • X ― 史料3  Y ― 史料1
  • X ― 史料3  Y ― 史料2

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この過去問の解説 (3件)

01

近現代の史料から、その内容を読み解く出題です。

 

史料1は日英同盟協約です。四か国条約の締結と同時に本同盟は、破棄されました。
 

史料2は国際連盟規約です。

 

史料3はワシントン海軍軍縮条約です。主力艦の保有制限に関して示した本条約は、ワシントン会議で調印されました。

選択肢1. X ― 史料1  Y ― 史料2

不適な選択肢です。

選択肢2. X ― 史料1  Y ― 史料3

不適な選択肢です。

選択肢3. X ― 史料2  Y ― 史料1

不適な選択肢です。

選択肢4. X ― 史料2  Y ― 史料3

不適な選択肢です。

選択肢5. X ― 史料3  Y ― 史料1

適切な選択肢です。

選択肢6. X ― 史料3  Y ― 史料2

不適な選択肢です。

まとめ

複数の史料から、その内容と結果を読み解く出題でした。

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02

●問題のポイント

ワシントン会議で日本は新条約を締結、古い条約を破棄しました。史料1~3に関して述べた説明の組合せとして適当なものを選ぶという問題です。

 

●解答

正しい組合せは「X-史料3 Y-史料1」です。

史料を読みながら、XとYの説明を特定していきましょう。

史料1

「両締盟国のどちらかが自ら挑発せずにその領土権や特殊利益を防護するために交戦する時は他の一方の締盟国は、協同して戦闘に当り、講和も同様に両締盟国が合意した上で行う。

この内容は、日英同盟の協定内容に該当します。日本とイギリスの互恵的な防衛義務を定めたもので、一方の締盟国が交戦する時は、協同して戦闘に加わるという内容です。

したがって、この内容は「Y ワシントン条約で破棄された条約の一部分」に当たります。

 

史料2

「締約国は戦争に訴えない義務を受諾し、各国政府間の行為を律する国際法の原則を確立し、各国間の平和安寧を完成するため、ここに国際連盟規約を協定する。」

これは、国際連盟規約の前文の一部を引用したものであり、ワシントン会議の合意事項ではありません。したがって、「X」「Y」の説明には当たりません。

 

史料3

「締約国は各自の主力艦建造計画を廃止しなければならず、同時に(別の条項)に掲げる規定に従って(老朽艦の代わりに)建造することができるトン数以外に、新しい主力艦を建造したり取得したりできない」

ワシントン会議で締結された 海軍軍縮条約です。主力艦の建造計画を廃止しなければならないが、老朽艦の代わりに建造する場合は、一定トン数までの艦艇しか建造できないと定められました。

したがって、「X ワシントン会議で調印された条約の一部分」に当たります。

選択肢1. X ― 史料1  Y ― 史料2

この組合せは誤りです。

選択肢2. X ― 史料1  Y ― 史料3

この組合せは誤りです。

選択肢3. X ― 史料2  Y ― 史料1

「Y-史料1」は合っています。

選択肢4. X ― 史料2  Y ― 史料3

この組合せは誤りです。

選択肢5. X ― 史料3  Y ― 史料1

「X-史料3 Y-史料1」の組合せで合っています。正解です。

選択肢6. X ― 史料3  Y ― 史料2

「X-史料3」は合っています。

まとめ

ワシントン会議で新しく調印されたのは、主力艦の建造を制限した条文(史料3)、

破棄された条文は、新たに4か国条約が結ばれたことで日英同盟が破棄されました(史料1)。

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03

正しい組み合せは、「X―史料3 Y―史料1」です。

 

X:史料3 

史料3は建艦制限を定める条項で、1922年のワシントン海軍軍縮条約(五か国条約)の内容です。

ワシントン会議で新たに調印された条約にあたります。

 

Y:史料1 

史料1は二国が相互に軍事協力し、共同講和を規定した同盟条約の一部です。

これは日英同盟(1902年締結、1921年会議で廃棄決定)を示しており、ワシントン会議で廃棄された条約に該当します。
 

史料2は、第一次世界大戦直後に結ばれた国際連盟規約(リーグ・オブ・ネイションズ規約)の前文の一節です。

ワシントン会議とは直接関係しておらず、廃棄もされていません。

選択肢1. X ― 史料1  Y ― 史料2

誤りです。

選択肢2. X ― 史料1  Y ― 史料3

誤りです。

選択肢3. X ― 史料2  Y ― 史料1

誤りです。

選択肢4. X ― 史料2  Y ― 史料3

誤りです。

選択肢5. X ― 史料3  Y ― 史料1

正しい組み合わせです。

選択肢6. X ― 史料3  Y ― 史料2

誤りです。

まとめ

・X(新たに調印):戦艦保有量を制限する条文=史料3

・Y(会議で廃棄):二国間の軍事同盟条文=史料1
以上から、選択肢 「X―史料3 Y―史料1」が正答となります。

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