大学入学共通テスト（地理歴史） 過去問
令和6年度（2024年度）本試験
問62 (日本史B（第6問） 問4)

●問題のポイント

日本は国際組織や要約から相次いで脱退しました。国際社会との関係を日本の指導者たちは同構想したのか、日本の外交に関して述べた記述について、正しいものの組合せを選ぶという問題です。

●解答

正しい組合せは、「ａ・ｃ」です。

外交についての記述を読みながら、正誤を確認していきましょう。

ａ　既存の国際秩序に批判的なドイツやイタリアに接近した。

国際協調を拒否して、国際社会から孤立していた日本、ドイツ、イタリアは、安全保障と政策の連携を深めるため日独伊防共協定を締結しました。

この協定は1940年に締結される日独伊三国同盟につながっていきます。

したがって、これは正しい記述です。

b　重慶の国民政府を「対手（あいて）」とする声明を出して、日中関係を改善した。

声明を出したのは、近衛文麿です。日本は「爾後（じご）国民政府ヲ対手トセズ」（以後、国民政府を相手としない）と宣言しました。

この声明は、重慶の国民政府との交渉打ち切りを示したものであり、「日中関係を改善した」という記述は誤りです。

ｃ　北方の安定を確保して南進政策を進めるため日ソ中立条約を締結した。

日本は1941年に日ソ中立条約を締結しました。ソ連からの安全を確保、日本が南方地域へ進出を目指す南進政策を推進しようとしたものです。

したがって、これは正しい記述です。

ｄ　独自の経済圏を作るため、日本は日米通商航海条約の破棄を通告した。

日中戦争の勃発で中国における通商の自由と経済的利益が対立したことなどの理由で、アメリカは日米通商航海条約廃棄を決定し、７月２６日に通告を行ないました。

「日本は日米通商航海条約の破棄を通告した」という記述は誤りです。

正しい組み合わせは、「a・c」です。

1930年代後半の日本は、国際協調路線から離れ、欧米による「ヴェルサイユ‐ワシントン体制」を批判するドイツ・イタリアと提携しつつ、北方を安定させて東南アジアへ勢力を伸ばす構想を取りました。

【各選択肢の検討】

a：正しい

・1936年：日独防共協定

・1940年：日独伊三国同盟
→日本は枢軸国と結び、対イギリス・アメリカへ備える姿勢を強めました。

b：誤り

・1938年１月「国民政府を対手とせず」声明を出し、和平交渉を拒否した。
→そもそも「改善」ではなく断絶を宣言しています。

c：正しい

・1941年４月、対ソ戦を避ける目的で締結

・以後、日本は資源確保を求め東南アジアへ進出（南進）

d：誤り

・1939年７月、条約を廃棄通告したのはアメリカであり、日本ではない。
→記述が逆です。