大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和6年度(2024年度)本試験
問63 (日本史B(第6問) 問5)

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問題

大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和6年度(2024年度)本試験 問63(日本史B(第6問) 問5) (訂正依頼・報告はこちら)

次のプリントは、二度の世界大戦後の日本と国際社会の関係をテーマに、発表準備を進めている高校生のヒマリさんが作成したものである。この文章を読み、後の問いに答えよ。(史料は、一部省略したり、書き改めたりしたところがある。)

第二次世界大戦後の日本と国際社会の関係について作成したプリント

・敗戦と占領:1952年の独立回復まで、独自の外交が不可能に。
 疑問点:e アメリカ主体の占領は日本社会にどのような影響があったか?
・1951年の対日講和会議:開催国はアメリカ。
 内容:f 日米安全保障条約にも調印→日本にとってアメリカの圧倒的な存在感。
    対日講和会議に参加せず、g 日本と国交を樹立しなかった国々の存在

下線部eに関連して、占領期における日本の社会や文化の説明として誤っているものを、次のうちから一つ選べ。
  • 占領軍によって、軍人や政治家など戦争中の責任を問われた人物が公職から追放された。
  • アメリカ教育使節団の勧告に基づき、教育の機会均等をうたった教育基本法が制定された。
  • 戦時期の抑圧的な風潮が継続し、明るくのびやかな歌謡曲は日本政府によって規制された。
  • 日本政府による言論統制が解かれ、政治批判を含む言論が盛んになる一方で、占領政策に対する批判は禁止された。

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この過去問の解説 (2件)

01

●問題のポイント

日本は、敗戦から1952年の独立回復までアメリカ主体の占領下にありました。占領は日本社会にあった影響についての記述で誤っているものを選ぶという問題です。

 

●解答

誤っている記述は、「戦時期の抑圧的な風潮が継続し、明るく伸びやかな歌謡曲は日本政府によって規制された。」です。

記述文を読みながら、正誤を確認していきましょう。

選択肢1. 占領軍によって、軍人や政治家など戦争中の責任を問われた人物が公職から追放された。

日本は敗戦後、アメリカの占領軍に7年間支配されました。軍人、官僚、政治家、超国家主義者、事業家(経済界)、言論報道関係者、約21万人が公職から追放され、社会的制裁を受けました。

これは正しい記述です。

選択肢2. アメリカ教育使節団の勧告に基づき、教育の機会均等をうたった教育基本法が制定された。

1947年、教育の機会均等、9年の義務教育などが規定された教育基本法、六・三・三・四制による学校体系を規定した学校教育法が制定されました。

これは正しい記述です。

選択肢3. 戦時期の抑圧的な風潮が継続し、明るくのびやかな歌謡曲は日本政府によって規制された。

戦時中は、国民の戦意高揚があがるような歌謡曲が推進されて、明るい歌謡曲は規制される傾向にありました。戦後は、連合国軍総司令部(GHQ)による民主化政策が進められ、政府による規制も解除されたので明るく伸びやかな歌謡曲が歌われるようになりました。

この記述は誤りです。したがって、この記述が正解になります。

選択肢4. 日本政府による言論統制が解かれ、政治批判を含む言論が盛んになる一方で、占領政策に対する批判は禁止された。

戦後の民主化政策の一環として日本政府による言論統制が解かれ、思想や言論の自由は認められるようになりましたが、占領政策や連合国への批判、空襲や原爆の報道、日本側の立場を擁護するような報道も禁止・制限されました。

これは正しい記述です。

まとめ

日本は戦後から7年間、アメリカの占領下にありました。

その間、公職から追放された人々があり、教育基本法が制定されたり、占領政策に対する批判が禁止されたりしました。日本の文化や思想が大きく変わった時期といえます。

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02

誤っているのは、

「戦時期の抑圧的な風潮が継続し、明るくのびやかな歌謡曲は日本政府によって規制された。」 です。

 

占領期にはGHQ(連合国軍総司令部)が表現の自由を拡大させ、ジャズやブギウギなど明るい大衆音楽がむしろ奨励されました。

日本政府がこれを規制する動きは見られません。

選択肢1. 占領軍によって、軍人や政治家など戦争中の責任を問われた人物が公職から追放された。

正しい記述です。

公職追放はGHQ主導で実施されました。

選択肢2. アメリカ教育使節団の勧告に基づき、教育の機会均等をうたった教育基本法が制定された。

正しい記述です。

1947年に教育基本法と学校教育法が公布され、民主的教育体制が整備されました。

選択肢3. 戦時期の抑圧的な風潮が継続し、明るくのびやかな歌謡曲は日本政府によって規制された。

誤りです。

占領下では軍歌・戦意高揚歌は放送禁止となりましたが、ジャズ風の歌謡曲やブギウギが流行し、政府が規制した事実はありません。

選択肢4. 日本政府による言論統制が解かれ、政治批判を含む言論が盛んになる一方で、占領政策に対する批判は禁止された。

GHQはプレスコードを定め、占領軍批判や共産主義擁護などを禁じました。

国内の旧来の統制は解除されつつも、GHQによる検閲は残ったため、正しい記述です。

まとめ

占領期の文化政策は「民主化」と「検閲」の二面性をもっていました。

明るい歌謡曲や映画は解禁・奨励される一方、GHQ批判は抑えられました。

この特徴を押さえておくと、当時の社会変化がつかみやすくなります。

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