大学入学共通テスト（地理歴史） 過去問
令和6年度（2024年度）本試験
問53 (日本史B（第4問） 問4)

「異国と貿易を行っていたすべての藩」に注目をします。

薩摩藩とは「それ以前は薩摩より琉球産を渡すのみ。」とあり、史料１が書かれた頃よりは昔の時代であると判断できます。また当時朝鮮と窓口を持っていた対馬藩に関する記述は本史料からは読み取れません。以上のことから不適です。

「自由な取引を容認」に注目をします。

幕府が直轄していた農園から、各地の藩で生産されている様子が書かれていますが、自由な取引については記載がありません。以上のことから不適です。

「薩摩から琉球へ」に注目をします。

史料１には「黒糖、それ以前は薩摩より琉球産を渡すのみ。」と書かれており、「薩摩から琉球へ」については記載がありません。以上のことから不適です。

「今、白糖は讃岐を第一、阿波これに次ぎ、駿河・遠江・三河・和泉等またこれに次ぐ。黒糖、それ以前は薩摩より琉球産を渡すのみ。」に注目をします。

白砂糖や黒砂糖が生産されている様子が書かれています。以上のことから適切な選択肢です。

史料１には、「長崎入泊の蘭（オランダ）、一種持ち来る」とあって長崎に来航したオランダからもたらされたと書かれています。

鎖国の頃は、砂糖が輸入されていた場所は長崎の出島だけで、輸入されたものは長崎街道を通って大坂へ送られ、全国に流通していました。「異国と貿易を行っていたすべての藩を通じて砂糖が輸入されていた」という記述は誤っています。

史料１には「皇国製糖の始めは、官圃（かんぽ：幕府直轄の薬園）」、「駿河・近江二州より植え始め」と書かれていて、官圃で砂糖が栽培され、各地での栽培につながったとされています。

「幕府は砂糖の専売制を改め、自由な取引を容認していた」とは読み取れないので、この記述は誤りです。

史料１には「黒糖、それ以前は薩摩より琉球産を渡すのみ」と書かれていて、琉球産の黒糖が薩摩へ入っていたと判断されます。

「薩摩から琉球へ黒砂糖が輸出されるようになった」という記述は誤りです。

「白糖は讃岐を第一、阿波これに次ぎ、駿河・遠江・三河・和泉等またこれに次ぐ」、「黒糖、それ以前は薩摩より琉球産を渡すのみ。

創製以来、紀伊・土佐を第一とし、和泉・駿河・遠江・三河その他もこれを産す」と書かれていて一部の藩で白砂糖や黒砂糖が生産されていたことが読み取れます。

したがって、最も適当なものです。

史料は「長崎入舶の蘭」「支那より」としか記さず、藩ごとに輸入したとは書いていません。

輸入港も長崎に限定されるため不適切です。

史料には専売制の廃止や自由取引を示す記述はなく、国内生産地の広がりを述べているだけです。

史料は「それ以前は薩摩より琉球産を渡すのみ」とあり、琉球から薩摩に入っていたことを示します。

輸出方向が逆なので誤りです。

「白糖は讃岐を第一、阿波これに次ぎ」「黒糖…紀伊・土佐を第一」と、複数の藩（讃岐・阿波・紀伊・土佐など）が生産地として挙げられています。

史料に合致します。