大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和6年度(2024年度)本試験
問82 (地理B(第3問) 問5)

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問題

大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和6年度(2024年度)本試験 問82(地理B(第3問) 問5) (訂正依頼・報告はこちら)

都市と生活文化に関する次の問いに答えよ。

次の図3は、アメリカ合衆国のフィラデルフィア都市圏とメキシコのメキシコシティ都市圏において、貧困が問題となっている地区の分布を示したものである。図3に関することがらについて述べた文として適当でないものを、後のうちから一つ選べ。
フィラデルフィア都市圏は、世帯当たり所得中央値が下位10分の1の地区。メキシコシティ都市圏は、低級住宅地区。
問題文の画像
  • フィラデルフィア都市圏において貧困が問題となっている地区は、早期から都市化したが、現在は住宅の老朽化や製造業の衰退がみられる。
  • メキシコシティ都市圏において貧困が問題となっている地区は、上下水道などの社会基盤(インフラ)が十分に整備されていない場所に広がる。
  • 貧困が問題となっている地区の分布を比較すると、フィラデルフィア都市圏の方が都市圏中心部に集中している。
  • 貧困が問題となっている地区は、両都市圏ともに主要な高速道路に沿って放射状に広がっている。

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この過去問の解説 (3件)

01

正答は「貧困が問題となっている地区は、両都市圏ともに主要な高速道路に沿って放射状に広がっている。」で、誤った記述です。

 

大都市のスラム問題についての出題です。

 

>歴史の古い都市(フィラデルフィラ、ロンドンなど)

中世に作られた古くからの都市は、過密した都市中央部がスラム化し、郊外に新興住宅地や官公地が形成されやすいです。

 

>比較的新しい計画都市(メキシコシティなど)

建設当初から都市中央部が整備され、中央部の外側にファベーラと呼ばれるスラム街が形成される傾向にあります。

不法住宅なども多く見られます。

 

選択肢1. フィラデルフィア都市圏において貧困が問題となっている地区は、早期から都市化したが、現在は住宅の老朽化や製造業の衰退がみられる。

正しい記述で、誤答です。

 

都市誕生の中心地となった地域では、モータリゼーションを考慮していない狭い道路や老朽化した建物が残置され、スラム化しています。

選択肢2. メキシコシティ都市圏において貧困が問題となっている地区は、上下水道などの社会基盤(インフラ)が十分に整備されていない場所に広がる。

正しい記述で、誤答です。

 

メキシコシティでは、中心地の外側にドーナツ状に広がる貧困地域に、無秩序で劣悪な住宅が作られます。

これらの地域は行政によるインフラ整備整備が間に合わず、非衛生な環境の中での生活を強いられます。

選択肢3. 貧困が問題となっている地区の分布を比較すると、フィラデルフィア都市圏の方が都市圏中心部に集中している。

正しい記述で、誤答です。

 

図3を見ると、フィラデルフィアでは都市中心部に貧困が問題となっている地区が集中しています。

選択肢4. 貧困が問題となっている地区は、両都市圏ともに主要な高速道路に沿って放射状に広がっている。

誤った記述で、これが正答になります。

 

フィラデルフィアでは、中心部から放射状に延びる高速道路沿線に新興住宅地が卓越しています。これは自家用車を所有する富裕層の便宜にかなっています。

 

メキシコシティでは、道路網の整備されていない不便な地域にこそ、貧困層が居住しています。

そもそも舗装された道路も存在しないことが多いです。

まとめ

歴史の古い都市と、比較的新しい計画都市の発展の仕方について特徴を押さえておきましょう。

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02

●問題のポイント

貧困が問題となっている地区に関する記述の中から、適当でないものを選択するという問題です。

貧困が問題となっている地区、アメリカ合衆国のフィラデルフィア都市圏とメキシコのメキシコシティ都市圏の貧困が問題となった地区の分布を見ながら判断します。

 

●解答

適切ではない記述は「貧困が問題となっている地区は、両都市圏ともに主要な高速道路に沿って放射線状に広がっている」です。

記述を読みながら解説していきます。

選択肢1. フィラデルフィア都市圏において貧困が問題となっている地区は、早期から都市化したが、現在は住宅の老朽化や製造業の衰退がみられる。

フィラデルフィアはアメリカ独立と建国の地で、アメリカでもっとも古い都市ですから、早期から都市化したといえます。

フィラデルフィア都市圏の地図をみると都心地区の近くに貧困地区が広がっていることから住宅の老朽化がみられると考えられます。また近年、製造業はアメリカ全体で衰退しており、この記述は正しいといえます。

 

選択肢2. メキシコシティ都市圏において貧困が問題となっている地区は、上下水道などの社会基盤(インフラ)が十分に整備されていない場所に広がる。

メキシコシティ都市圏の地図をみると、貧困が問題となっている地区は市街地にも広がっています。

貧困が問題となっている地区は低価格の土地だと考えると、上下水道などの社会基盤(インフラ)が十分に整備されていない場所でもあると考えられます。したがって、この記述は正しいといえます。

選択肢3. 貧困が問題となっている地区の分布を比較すると、フィラデルフィア都市圏の方が都市圏中心部に集中している。

フィラデルフィア都市圏の地図をみると、貧困が問題となっている地区は都心地区に隣接しています。

一方、メキシコシティ都市圏の地図では、貧困が問題となっている地区は都心地区から離れたところに散在していることが分かります。

したがって、この記述は正しいといえます。

選択肢4. 貧困が問題となっている地区は、両都市圏ともに主要な高速道路に沿って放射状に広がっている。

フィラデルフィア都市圏の地図をみると、主要な高速道路に沿って貧困が問題となっている地区もありますが、そうではない地区もあります。

メキシコシティ都市圏の地図も同様ですので、主要な高速道路に沿って放射状に広がっているという記述は間違っています。

まとめ

住宅の老朽化や製造業の衰退や上下水道などの社会基盤(インフラ)が十分に整備されていない場所という記述は、地図を見てもわかりません。

フィラデルフィア都市圏の特徴や、インフラが整備されていないのは低価格の土地というような部分まで、知識として知っておくようにしましょう。

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03

適当でない文は、

「貧困が問題となっている地区は、両都市圏ともに主要な高速道路に沿って放射状に広がっている。」です。

選択肢1. フィラデルフィア都市圏において貧困が問題となっている地区は、早期から都市化したが、現在は住宅の老朽化や製造業の衰退がみられる。

内陸水路と鉄道が発達した時期から工場や住宅が集中し、その後の産業空洞化とともに建物の老朽化が進んだ地域に貧困が目立ちます。

都市化の歴史と現状を説明しており妥当です。

選択肢2. メキシコシティ都市圏において貧困が問題となっている地区は、上下水道などの社会基盤(インフラ)が十分に整備されていない場所に広がる。

都市周縁に拡大したインフォーマルな居住地では上下水道・舗装道路の整備が遅れがちで、インフラ不足が貧困と結び付いています。

指摘は適当です。

選択肢3. 貧困が問題となっている地区の分布を比較すると、フィラデルフィア都市圏の方が都市圏中心部に集中している。

フィラデルフィアでは中心部とその周辺に貧困地区が連続し、メキシコシティでは郊外リング状の分布が目立ちます。

「中心部への集中」という対比は成り立つため妥当です。

選択肢4. 貧困が問題となっている地区は、両都市圏ともに主要な高速道路に沿って放射状に広がっている。

図ではフィラデルフィアの貧困地区は高速道路と必ずしも一致せず、メキシコシティでも高速道路沿いに明瞭な放射状パターンは見られません。

両都市圏に共通する特徴とはいえないため不適当です。

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