大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和6年度(2024年度)追・再試験
問76 (地理B(第2問) 問5)
問題文
タクさんは、経済活動に伴う人々の健康被害を考えるため、光化学スモッグについて調べた。次の図5は、関東平野における1972年から1975年までの、光化学スモッグによる重度の健康被害*が発生した地域を示したものである。また、図6は、東京都における1970年度から2020年度にかけての、光化学スモッグの健康被害者数と注意報発令日数の推移を示したものである。図5と図6に関することがらについて述べた文章中の下線部①〜④のうちから、適当でないものを一つ選べ。
*目まい、吐き気、体の痛みやしびれ、意識不明など。
光化学スモッグの原因物質は、工場排煙や自動車の排気ガスが紫外線を受けることで生成される。東京湾沿岸地域で重度の健康被害が発生したのは、自動車の排気ガスに加え、① 沿岸地域の工場からの排煙が多いためである。沿岸部から内陸部にかけて健康被害が発生した地域がみられるのは、② 原因物質が海からの風によって運ばれたことが一因である。
光化学スモッグ注意報は、気象と原因物質の観測をもとに発令される。東京都での注意報発令日数は、1970年代以降減少傾向にある。これは、③ 発生源に対し強い規制がかかったことが一因である。2011年度以降、東京都の健康被害者数が0人であるのは、④ この地域で光化学スモッグが発生していないためである。
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問題
大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和6年度(2024年度)追・再試験 問76(地理B(第2問) 問5) (訂正依頼・報告はこちら)
タクさんは、経済活動に伴う人々の健康被害を考えるため、光化学スモッグについて調べた。次の図5は、関東平野における1972年から1975年までの、光化学スモッグによる重度の健康被害*が発生した地域を示したものである。また、図6は、東京都における1970年度から2020年度にかけての、光化学スモッグの健康被害者数と注意報発令日数の推移を示したものである。図5と図6に関することがらについて述べた文章中の下線部①〜④のうちから、適当でないものを一つ選べ。
*目まい、吐き気、体の痛みやしびれ、意識不明など。
光化学スモッグの原因物質は、工場排煙や自動車の排気ガスが紫外線を受けることで生成される。東京湾沿岸地域で重度の健康被害が発生したのは、自動車の排気ガスに加え、① 沿岸地域の工場からの排煙が多いためである。沿岸部から内陸部にかけて健康被害が発生した地域がみられるのは、② 原因物質が海からの風によって運ばれたことが一因である。
光化学スモッグ注意報は、気象と原因物質の観測をもとに発令される。東京都での注意報発令日数は、1970年代以降減少傾向にある。これは、③ 発生源に対し強い規制がかかったことが一因である。2011年度以降、東京都の健康被害者数が0人であるのは、④ この地域で光化学スモッグが発生していないためである。
- ①
- ②
- ③
- ④
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この過去問の解説 (1件)
01
この問題では「光化学スモッグ」を正しく理解していることが求められています。
光化学スモッグは、工場や車などの排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)などが太陽の紫外線によって光化学オキシダントという有害物質に変化し、目やのどの痛みなどの健康被害を引き起こす大気汚染公害です。この点を踏まえて各選択肢を考えていきましょう。
正しい文章です。
東京湾沿岸では、高度経済成長期に工場が集中し、窒素酸化物(NOx)や炭化水素などを多く排出していました。それにより「光化学スモッグ」が発生し、健康被害が引き起こされました。
正しい文章です。
光化学オキシダントは海の風や偏西風によって移動し、発生元となる工場から離れた地域にも被害を及ぼします。
正しい文章です。
光化学スモッグの対策として発生源である工場の操業時間の抑制や排出規制、低VOC製品を利用するなどが実施されました。また、個人単位では、光化学スモッグ注意報が発令されれば、「外に出ない」ことを注意喚起することで、被害者を減少させました。
不適切な文章です。
2011年度以降、東京都で健康被害者が0人であるのは、発生が無かったというわけではなく、発生しても濃度が低く、被害に至らなかったためです。注意報発令は現在も実施されています。
光化学スモッグは、工場排煙や自動車排気ガスが紫外線を受けることで発生し、海風や偏西風によって発生源から遠距離の地域まで運ばれることで広範囲に健康被害が及びました。高度経済成長期以降は、工場運営の規制などの対策によって健康被害者は減少しました。東京都で健康被害者が出ていないのは、光化学スモッグが全く発生しないからではなく、濃度が下がり被害に至らなくなったことが理由です。
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